【入会のお願い】
「NPO法人731部隊・細菌戦資料センター」
共同代表 近藤昭二(ジャーナリスト)
松井英介(医師)
小野坂弘(新潟大学名誉教授)
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日中戦争中、日本が中国で行った残虐行為の一つに731部隊等の細菌戦部隊が医学者を動員して細菌兵器等を開発・製造し、中国各地で細菌作戦を実行した「731部隊・細菌戦問題」があります。即ち、731部隊等は、中国黒竜江省ハルビン市郊外平房の731部隊本部などで細菌兵器等の開発・製造のために人体実験を行って中国人などの捕虜数千人を殺害し、さらに浙江省の衢州や湖南省の常徳市などで細菌戦を行ってペストやコレラなどの疫病を流行させ数万人の中国人を殺傷しました。
731部隊等が行った人体実験や細菌戦は国際法に違反する重大な戦争犯罪であり、本来、日本政府は加害の事実関係を明らかにし被害国と被害者に対する責任をはたすべき事柄です。
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1980年代から90年代にかけて、731部隊等の細菌戦部隊の活動実態に関する研究は著しく進み、人体実験や細菌戦によって多くの中国の民衆を虐殺されたことを裏付ける様々な証拠の存在が明らかになってきました。また中国の人体実験や細菌戦の被害者が90年代後半に日本の裁判所に提訴した裁判では、判決で731部隊等による加害の事実が明確に認定されています。
しかし現在に至るも日本政府は戦争中の731部隊等による残虐行為について一度も事実を認めていませんし、事実調査を行う姿勢すら見せていません。
中国の人体実験や細菌戦の被害者は、このような不誠実な日本政府の姿勢に著しく気持ちを傷つけられています。
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現在、黒竜江省では、731部隊本部跡を世界文化遺産にしようという運動が省を挙げて行なわれています。また細菌戦の被害を受けた中国各地では、日本軍の細菌戦を記録する各種の記念施設を設け、細菌戦を歴史事実として後世に伝えようとしています。例えば、湖南省の常徳市博物館では常設の常徳細菌戦展示コーナーを設け、常徳の全細菌戦被害者の名前を掲げるとともに細菌戦裁判の模様を展示しています。浙江省の義烏市では、細菌戦による多数の犠牲者を出した崇山村に、被害者の名前を刻んだ記念碑を建てたほか、細菌戦義烏陳列館を開館し細菌戦と裁判の展示をしています。また衢州市では地方政府がペスト菌の投下地点の家屋を歴史遺跡として保存し細菌戦歴史陳列館とし、寧波市では市の地方史部門がペスト菌が投下された開明街にある建物で細菌戦の歴史と細菌戦訴訟の展示を始めました。
上記のような中国での様々な動きを見るとき、日本側がもっと積極的に「731部隊・細菌戦問題」に関する認識を深めて同問題の速やかな解決のために行動することが必要と思料されます。
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これまでも731部隊等が行った人体実験や細菌戦に関する加害と被害の事実を調査記録する活動や被害問題の解決のために立法府や行政府に働きかける活動を行ってきました。今後、さらに中国の細菌戦被害者との継続的な交流を深めつつ、日中友好をめざす国際協力活動として「731部隊・細菌戦問題」の解決を求める市民運動を継続的に行うにあたって、公正かつ透明性の高い運営を行い、社会的信用を得て幅広く活動していくため、NPO法の趣旨に則り、「NPO法人731部隊・細菌戦資料センター」を特定非営利活動法人として設立することにした次第です(設立趣意書より)。