2005年2月19日〜20日
「若者と語る日中関係」
〜今こそ歴史を鑑に!日中間の友好と信頼が平和への道〜
核兵器・細菌兵器を史上初めて使った 日米帝国主義によって計画される核戦争
吉田義久
米ブッシュ政権は2001年10月にアフガニスタンへの侵略戦争を開始し、クラスター爆弾、バンカーバスターなどの兵器によりアフガニスタン民衆を虐殺し続け、劣化ウランを1000トンもまき散らし、民衆の苦しみをさらに強制している。2003年3月から始めたイラク侵略戦争では劣化ウランを2000トンもまき散らした。
劣化ウランはその放射能毒性と化学毒性から見て、一種の核兵器であり、大量破壊兵器として位置づけられる兵器である。にもかかわらず、米軍・米政府はその放射性は環境および人体の影響は無視できると一貫してデマを振りまき、劣化ウラン兵器をさらに大量に生産し、兵器体系の中心に据えることによって兵器システムを刷新した。
T.イラク戦争で劣化ウラン弾(新型核兵器)が使われた理由
アメリカはなぜ湾岸戦争(第1次イラク侵略戦争)を始めたのか?
1.米帝国主義の危機
中東の石油支配は米帝国主義の生命線であり、ここが瓦解することは支配の崩壊を意味した。1990年は米帝国主義はその経済危機にあえいでいた。対日経済赤字は改善の余地なく増加し続け、1929年恐慌以来と言われた1987年の株価暴落(「ブラックマンデー」)の再現は時間の問題と見られ、それは明確に世界大恐慌の再来とおそれられていた。イラン・イラク戦争で軍事大国にのし上がったイラクはOPECの主導権も握り、米帝の石油支配政策に明確に障害になってきた。そこで、フセインにクウェート侵略をけしかけ、それを口実に発動されたのが1991年1月17日から発動された「湾岸戦争」(第1次イラク侵略戦争)であった。
この戦争を通じて、石油支配、軍需産業の活性化、日本帝国主義のイラク権益の破壊を通じ、軍事力行使による対日競争力の巻き返しなどが意図された。
こうした目的を実現するためには、米軍は対イラク戦で絶対に勝利すること、しかも短期間の勝利が決定的であった。
2.ベトナム戦争敗北の総括し、イラク軍に短期間に勝利する切り札の兵器(劣化ウラン弾)を開発した。
イラク侵略戦争はベトナム戦争のような敗北は許されない。
これまでの兵器ではイラク戦は長期化し、ベトナム化する。
短期間での勝利が絶対に保証されなければならない。
そのためには核兵器の使用以外にない。
それは朝鮮戦争の総括であり、ベトナム戦争の総括であった。
しかし、原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾が政治的に直ちに使えないとすれば、
それに代替えする新しいタイプの兵器として劣化ウラン弾が湾岸戦争(第1次イラク戦争)で初めて使われた。
イラクの軍事力はイスラエルを除けば、最強の軍団を保有していた。アメリカの軍事介入がなければ、アラブ世界の盟主として、かつてのエジプトに変わる指導者としてその軍事力を背景に台頭してきた。
@陸軍は兵員95万人(他に準軍隊の「人民軍」が85万人)主力戦車が5,500両、
A空軍は作戦機690機
B海軍は弱小
対イラン戦争の過程で東西両陣営から優良な武器を購入した。逆に、主要装備の大半がソ連製やフランス製など外国製であったためその部品弾薬の補給に限界があった。空軍と陸軍に関してはアラブ世界では群を抜いていた。そのほか、中距離弾道ミサイル、スカッド・ミサイルなどを保有していた。
劣化ウラン弾はイラクの主力である戦車軍団の撃滅に決定的な効果を持った。
U.劣化ウラン弾の構造とその軍事的な意味
1.敵戦力の撃滅手段としての優越性
劣化ウランを砲弾の貫通体として使用する。これによって標的を貫通する能力と着弾の際の燃焼度が飛躍的に高まる。
ウランの比重18.7(鉄7.86,鉛11.34、タングステン19.1)
戦車の装甲板を貫通し、焼夷性を持つ。装甲板を貫通した後、粉末となって飛び散りウランは爆発的に燃焼する。その際に3000度に達し、戦車内部を破壊し、爆発物を誘爆させ、人間を焼殺する。
従来の貫通体(タングステン)では2キロメートルの射程が劣化ウラン弾のそれは3キロメートルに伸びた。
このことに意味することは軍事的に圧倒的な優越性を手にしたことになる。
米軍は1,900台以上のM1A1エイブラハム戦車が投入し、数百台のM1戦車とM60戦車が使った。
米空軍は、陸軍以上に劣化ウラン弾を使用した。A-10攻撃機「戦車キラー」は94万発の30ミリ劣化ウラン砲弾を発射した。30ミリ砲弾の劣化ウラン貫通体の重量は約298gなので、A-10から発射された劣化ウランは約280トンとなる。
陸軍は戦争前の練習で7,000発サウジアラビアの砂漠地帯で発射し、実戦で4,000発発射し、さらに3,000発を火災や事故で消失した。計1万4、000発の戦車砲弾が使われたことになる。これはM829A1120ミリ砲弾で5.6Kgの劣化ウランを含む。約78トンとなる。
イラクのT-72戦車はM1A1戦車7両に砲弾を命中させることが出来たが、実質的な損害を与えることは出来なかった。戦争中に破壊された9両のエイブラハム戦車の内7両はいわゆる「遊軍射撃」によって破壊された。残りの2両は運転不能となったために、鹵獲を防ぐために意図的に破壊されたものであった。
戦場のエピソードとして、
泥にのめり込んで孤立した1両のM1A1戦車に、T-72戦車3両が近づき、1両が1000メートル以内から発射した砲弾は全部の装甲に命中したが、損傷を与えることが出来なかった。別の1両が400メートルにまで近づいて実弾を発射したがM1A1戦車の前部装甲に溝を付けただけで、跳ね返って落下した。逆に泥にはまったM1A1戦車は、3両のT-72戦車を劣化ウラン弾で易々と破壊したと報告されている。。
劣化ウラン弾こそ、アメリカのイラク侵略戦争短期勝利の切り札であったことは明らかであるが、
劣化ウラン弾は戦場を戦闘の場から一方的な殺戮の場へと変貌させるものであった。
2.放射能兵器としての高い実効性
劣化ウランは短期間の対敵撃滅戦力を持つと同時に、放射能物質であるウラン微粒子がガス状になり大気中を飛び回り、地上を汚染し、地下水や川に流れ込み、呼吸飲食を通じて体内に取り込まれる。長期間をかけて戦場であった土地を放射能で汚染し、そこに生きる人々の生活を破壊し、ガン、白血病、悪疫の蔓延させ、追いつめ、国力、民力を消耗摩耗させる。これは経済制裁という政治的国家的テロによって、その効果を10倍化した。
こうした効果を読み込み済みの上で、アメリカは劣化ウランを使った。
劣化ウランは放射性を持ち、とりわけアルファ線を出し続けるウランが1ミクロン以下の微粒子となって、呼吸や飲食を通じて体内に取り込まれ易い。内部被曝の放射能の毒性は極めて大きい。これについてはマンハッタン計画を指導した科学者の間ですでに研究されていた。
別紙資料:秘密メモ「放射能兵器の提言」
内部被曝問題は核兵器の大量無差別殺戮兵器であることと並んで、核兵器の持つもう一つの重要な側面である。この問題は米国は広島・長崎の原爆投下問題以後一貫して隠し続けてきた。ビキニ水爆実験しかりである。むしろ内部被曝問題は核開発を行う上で研究を避けて通れない問題であった。この問題の担当者として医師が動員されている。731部隊のような放射能兵器の開発と人体実験が行われてきた。ヒロシマ・ナガサキの被曝者をモルモットとして放射線・能の人体への影響が研究されていた。
3.軍需産業にとって申し分のない高度な収益性
米軍需産業は劣化ウラン弾の戦争デビュウのチャンスを長いこと窺ってきた。
V.劣化ウラン弾使用の犯罪性
米帝国主義をはじめ、英帝国主義、日本帝国主義、独、仏帝国主義の破産
ロシア、中国の役割
経済的、道義的、軍事的、政治的
W. 日米は実戦に使った核兵器・生物兵器を
兵器体系の基礎として位置づけた
(「日本の核武装化と戦争責任問題」『裁かれる細菌戦資料シリーズNo.7』から抜粋)
広島・長崎に投下した原爆の被害調査には、日本軍が天皇の命令で米軍の進駐前から現地に出かけ調査を開始し、米軍の進駐以後から行われる調査に全面的に協力しています。ちょうど七三一部隊で「マルタ」が、細菌兵器開発の実験材料として取り扱われたように、被爆者たちがモルモットとして扱われて、放射線の人体への影響調査の資料として利用されたわけです。
七三一部隊の細菌兵器開発や細菌戦の戦争犯罪は米軍によって犯罪として扱われるより、成果として利用されました。原爆の被害調査に協力した日本軍はそれを極めて貴重な軍事情報に接する機会として積極的に協力参加しました。その調査は被爆した日本人の立場に立つというよりも、原爆の兵器としての効果への関心から行われたものでした。
これは一九四六年に広島、長崎に原爆被害調査のためにトルーマンの指令によりABCC(原爆傷害調査委員会)が設置され、翌一九四七年に米軍の強い要求により国立予防研究所がABCCに隣接して設置され、予研の所長以下研究者には七三一部隊関係者が多数採用されたということの中に示されているように、戦後は米軍主導の下に核兵器開発と細菌兵器の研究が続けられ、日本の軍医達はそこで同じような研究を続けてきました。そういうことによって延命、責任逃れをして、共同開発者にすらなったわけです。それは、七三一部隊の医師や軍人だけのことではなく、七三一部隊設置を命令した天皇の役割そのものであったわけですし、敗戦した日本帝国主義の延命政策としてなされたわけです。
日本の軍人、軍医や科学者たちが広島・長崎原爆投下の後、その被害地に行って、それを調査した事の成果は今日どういうふうに現れているでしょうか。正に日本の核武装準備という形で進んできています。前回の地下鉄サリン事件で明らかにされたように、オウム真理教が実行班としてやったということになっておりますけども、その出所は、自衛隊です。化学兵器のノウハウ、あるいはサリンそのものはズーッと保管されてきたのです。また、今アメリカで大騒ぎになっている炭疸菌も、これももとはといえば日本軍が開発し、軍事的に使えることが可能であるということを最初に明らかにしたものですね。それがその技術と共にアメリカに渡り、六〇年後の今日それが使われているわけです。明らかに米軍から漏れていると思います。今米政府を中心に大量破壊兵器の拡散、拡散というふうに大騒ぎをしておりますけども、もとはといえば、米国がこれを開発し、独占しようとしてきたのです。それはつまりアメリカが独占的にそれを保有するのはいいけれど、他の国が持つのはけしからんといっているにすぎず、またそれを戦争を始める口実に使おうとしているわけです。米国は核兵器と同時に強力な殺傷力を持つ化学兵器を開発していました。一九四五年にはそれをいつでも日本に対して使える体制にあったわけです。日本の敗戦前に原爆が作れたために、原爆の使用が優先されたのです。戦後は核実験や核戦争の演習のみならず、大規模な細菌兵器の実験も繰り返し行っています。ソ連も同様です。ソ連もアメリカに追随して核兵器を開発して、細菌化学兵器も開発して貯め込んでいました。こうした動きに実際先進国と称する国々はすべて追随しています。イギリスもフランスも。そして日本も敗戦国として軍事力を持つことを禁じられているにもかかわらず、この開発を裏でやってきたわけです。
X.帝国主義戦争故に核・化学・生物兵器が使用された
(「日本の核武装化と戦争責任問題」『裁かれる細菌戦資料シリーズNo.7』から抜粋)
初めての世界中をまきこむ帝国主義戦争であった第一次世界大戦は戦争が国家総力戦となり、軍隊、兵士間の戦闘にとどまらず、兵站機能が決定的に重要であることを明らかにしました。国家総動員体制の実現に向けて、それを担当する機関や法の整備を行いました。各国は国家総動員法の制定によって兵士に限らず、国民全てが戦争に動員されてゆく体制になると、戦争による攻撃の対象は軍隊、軍事基地にとどまらず、空港、港湾、交通、輸送、通信、発電所、送電網、上下水道施設が、軍需施設、それを支える産業活動全般が、労働者の住居が、つまり全てが攻撃の対象となってゆきました。戦略爆撃の思想は第一次世界大戦の総括としてイタリアの空軍将校ジョリオ・ドーエの『制空権』(一九二一年)やアメリカの空軍将校ビリー・ミッチェルの『空中国防論』(一九二五年)などが出版されています。日本海軍は上海、南京、武漢、重慶へと「世界航空戦史未曾有の大空襲」(海軍省発表)を次々敢行してゆきます。これはやがて、ミッチェルの弟子のカーチス・ルメイ将軍などによって指揮される戦略爆撃部隊による日本本土大空襲となって返ってくるわけです。そして、その極致として広島、長崎への原爆投下が行われるわけです。
帝国主義の侵略軍からは、侵略した地域、国の兵士と一般住民の区別は難しくなります。侵略行為に対する抵抗は兵士にのみにかせられた問題ではなく、住民自身が抵抗せざるを得ません。そこで侵略軍である日本軍は圧倒的多数の中国人を全て敵視して戦うことになります。特に八路軍(共産党の紅軍)では戦略的に住民の抵抗闘争参加を呼びかけました。そこで日本軍は通常兵器だけでは対抗できないため、化学兵器や細菌兵器を使い、しかも空襲と組み合わせて使い、効果を高めようとしました。これは朝鮮戦争、ベトナム戦争における米軍も同様でした。米軍は朝鮮戦争でも、ベトナム戦争でも核兵器を使おうとしましたが、政治的にその使用は押しとどめられたのです。細菌兵器や化学兵器については使ったことは数々の証拠が挙げられています。日本軍の三光作戦や米軍によるベトナムへの枯れ葉剤散布などは住民の皆殺しを戦術化せざるを得ないところに、帝国主義の侵略軍隊が追いつめられるということを表しています。
国家総動員体制と大量破壊兵器による無差別殺戮戦術は帝国主義戦争が生み出した双生児であり、いずれも戦争に勝つために生み出されたものです。帝国主義の本質がここでむき出しに露呈するのです。動員を強制され、死ぬまで戦いを強制され、無差別殺戮されるのは民衆です。民衆を戦争に駆り立て、彼らを無差別殺戮するのは帝国主義者です。無差別殺戮戦略は核兵器の使用を戦術化したところでその破産性をむき出しにするのです。細菌戦と原爆投下は帝国主義の破産を自ら告白しているものでした。当時社会主義国家を標榜していたソ連のスターリン書記長は細菌兵器を告発しながら、原爆を告発しませんでした。広島・長崎の原爆投下に対して帝国主義者を非難、告発するのではなく、帝国主義者と同じ軍事思想にはまり込み自ら原爆を保有する道を選択していました。ソ連が世界の労働者民衆に対する裏切りをこれほど象徴するものはないのです。米帝国主義を打倒することが出来るのは、ソ連の核兵器ではなく、アメリカの労働者人民の力です。アメリカに革命が起きない限り、アメリカの核兵器が廃絶されることはないのです。ソ連の核ミサイルはアメリカの労働者に向けられたのです。これこそ労働者階級の国際連帯に敵対する路線です。ソ連は国際的な労働者の利害を裏切り、米帝国主義の原爆投下を正当づける口実を与え、米帝国主義との核軍拡競争によって、世界を核戦争の恐怖に追いやり、あげくの果て破産崩壊しました。
日本軍の戦略爆撃、細菌戦、化学戦、三光作戦で苦しめられた中国政府が核兵器によって米帝国主義に対抗しようとしています。これこそ、米帝国主義者の核軍拡やBMD配備を正当化させるものです。これはソ連の二の舞です。
支配者は都合が悪くなれば、敗戦を受諾し、取引によりその支配者としての地位を守ろうとします。日本の帝国主義者、天皇や、支配者は取引により延命しました。
Y.米軍世界的再編
2月19日日米安全保障協議会(2プラス2)がワシントンで開催された。米陸軍第1軍団司令部の座間基地移転問題が主要なテーマである。イラク戦争に日本の自衛隊が派遣され、米軍の占領支配が破綻しかかる中で、その政治的軍事的意味はますます重要視されている。2月19日同日、座間基地司令部周辺を雨の中約3000人による人間の鎖が取り囲み地元住民、労働団体などによる反対の意思が表明された。
これは、日米による北朝鮮に対する侵略戦争と、さらに中国の体制転覆をも狙った戦争政策としてある。日米共同開発・配備を進めるミサイル防衛は中国の核ミサイルの封じ込め、ないし先制核攻撃をも射程に入れた軍事戦略である。
Z.日中人民の堅い連帯を
すでに日米韓人民の反戦のネットワークは構築されている。日米帝国主義の戦争政策を阻止する日中人民の連帯がますます重要になってゆく。
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